今回2年ぶりのAESショー参加となりました。以前のショーでは一括コントロールできるプロセッサーやコブラNETなどが注目を集めていましたが、今回見て思ったのは「メーカーの垣根を越えてインターフェースを共用する」という概念からは一歩後退、自社ブランドや関連グループなどのみでシステム構築をするという方向性でした。業界では影響力をもつハーマングループがJBL、AKG、DBX、CROWN、LEXICONなどの製品をインタラクティブにより手軽にシステムアップさせるのは一見便利そうですが、先にそうした取り組みを見せたYAMAHAやROLANDが必ずしも成功しているとはいえず、これが日本市場に受け入れられるかは大いに興味があるところです。しかしこれがDAWになると話が異なってきます。一時期拡張性をあまり重要視していないことから、安価な製作ソフトは豊富なサードパーティを持つSTEINBERGや、製作のしやすさで支持を集めたEMAGICにユーザーが流れたDIGIDESIGNでしたが、今回のPROTOOLS7の発表で完全にポテンシャルを取り戻しました。基本的に外部メーカーとの拡張性はそれほど重視していないDIGIDESIGNですが、そんなことはお構いなし。とにかく来場者の数がそれをあらわしていました。またライブ用コンソールのVENUEにより、ライブも視野に入れた音楽製作の方向性を提示したDIGIDESIGNからますます目が離せなくなりました。今回のバージョンアップはそれほど大きなものではないと聞いていたもののやはりユーザーの期待は大きいものだったようです。残念ながらそれ以外の大きな目玉となるとやや印象が薄れてしまいますが、それでも音楽産業は巨大化、そしてよりコアなシステムに推移する中で様々なターゲットへアプローチするメーカーの姿勢が垣間見れて楽しめるショーとなりました。
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