PALA速報 in Manila
Pala Show2000 -Manila-
2000年PALAショーは7月6日から8日までフィリピンのマニラで開催された。
例年シンガポールで開かれ来たPALAショーだが、今年度だけは主催者の意向で初めての南国の島国、マニラでの開催となった。事前の予想では大幅な参加者のダウンが噂されていたが、果たしてふたを開けてみるとそれは現実となってしまったようである。
というのもシンガポールならば東南アジアの中心として南はインドネシア、西はインド、東はフィリピン、北には日本があり、誰もが参加しやすい立地条件と考えられるが、太平洋のど真ん中に位置するフィリピンは、多くの庶民にとってあまりにも遠すぎる存在なのであろう。
日本からの参加者にとっては3時間半のフライトでシンガポールよりも半分の距離ですむためとても便利なのであるが、治安の問題等もからみ、参加者は例年の1/3くらいになってしまった。
会場はマニラ屈指のWORLD TRADE CENTERだ。といっても写真で見られるようにたいした建物ではない。
おまけにマニラの都市全体が開催期間中、なんと台風に見舞われ、PALAが終了する8日まで嵐に苛まれてしまったのだ。
そんな中で強行された2000年PALAショー、中身に期待したい。
PALAといえばプロ・オーディオ関連の音響機器と照明を中心としたトレード・ショーとして有名だ。
その名のごとく、会場に入ったとたんに目に付くのが眩しいばかりのステージ照明のブースである。MARTIN等の著名なメーカーから、無名のOEMサプライヤーまで様々なメーカーの商品が一度に見ることができるのでうれしい。
特にスポットライトやレーザービーム・ショー、及びオーディオ・ビジュアルに関連する機材の出展がここ最近増えてきている。
見ているだけで幻想の世界に陥ってしまうようなレーザーショーをPALAショーではふんだんに見ることができる。
うん?
これは暗闇の中に輝くレーザーによって創り出されたアダムとイブの物語りか?何か夢があってとてもいい感じ。
この部屋でフォグ・マシーンから放出されるSMOKE ON THE WATERによりルーム全体が幻想的になって、ちょっとロマンチックかも!?
とにかくAV、オーディオ・ビジュアルと言われているように、音響と映像がいっしょになって初めてすごいインパクトがあるのだとつくづく感じさせられる。
次の注目はDJだ。
ここでもPIONEERは広いブースをもって陣を敷いていた。CDプレーヤーの路線をひたすら突っ走ってきたPIONEERだが効を奏してここ最近DJの分野で非常に力をつけてきた。
製品のアップグレードが頻繁に行われるだけでなく、その独自のデザイン、機能に多くのDJが魅了されていることは間違いないようで、TECHNICS系のターンテーブル派と人気を2分する。
その他、AMERICAN DJやNUMARKなどのブースが目についたが、機能やデザイン面でも申し分なく成長してきており、とにかく安くて使いやすく、信頼性も高くなったということで、これらのOEMを多用したメーカーのグッズの人気は衰えることを知らない。
そして今、人気急上昇中のフォグマシンに注目。
写真はANTARI製だが多数の海外メーカーに対してOEM供給している著名メーカーだ。
ここ最近の価格の下落により本当に誰でもフォグマシンやDJ機器を所有して楽しめるようになったことはありがたい。
今後の更なる普及に期待したい。Let's Party!!
業務用のプロ・オーディオ機器ではおなじみのJBL、EV、COMMUNITY、CERWIN VEGA等のスピーカーのメーカーが際立つ。
JBLはハーマングループの一員としてアンプメーカーのCROWNやミキサーのSOUNDCRAFTと組んでグループ戦略を展開している。
商品がかさばる分だけブースにおいてもインパクトがあり、見ているだけでも楽しい。
いや、じっくり聞きいってみるともっと楽しいのだ。
ELECTRO VOICEも同様にEVIグループを中核としてKLARK TEKNIKらとタイアップしながら商品の拡販を狙っている。これらの企業グループに対抗してPEAVEYやYAMAHA等の巨大メーカーや各単立メーカーが頑張っているのだ。
そこにサブウーハーの巨人、CERWIN VEGAが勢いを伸ばしてきており、そのずば抜けた低音の"魅力"で観衆を圧倒させる。
いずれにせよこれからの時代はブランド名よりも中身で勝負と言えるのはまちがいないだろう。
その他、AUDIO TECHNICA、TC ELECTRONICS、YAMAHA、CRESTなど著名ブランドのブースが建ち並ぶが、つまみに触れる、音をだす、わけがわからなくてもフィーリングだけでもつかむことにトレード・ショーの意義を感じる。
ここ数年間色々な展示会を訪ねてきたが、最近になって痛感することはアナログ機器が大変つまんなくなってしまってきたことだ。
どういうことだろう?
以前は各メーカーが独自の機能や特殊なデザインを競い合って、よりコストパフォーマンスに優れた商品の開発に努めていたような気がする。
ところが世界的な時代の変化とでも言うか、アナログ機器の工場が中国、台湾、タイ、韓国に次から次へと移行する過程の中にあって、いつのまにかOEM(委託生産)も当たり前のように定着してしまったのだ。
今日ではベリンガーのように自社工場を持っていないメーカーを見つけるのに苦労しない。
それだけではない。これらのOEM工場はその影響力を着実に伸ばしつつあり、時には同一工場にて複数の競合メーカーの商品を生産することもあり得るようになってしまったのだ。
これは何を意味するのだろう。
まず表面的にはアナログ機器が独自性を失い、何を見ても全部同じに見えてしまうような結果をもたらすことになったことは間違いない。
簡単に結論を出すことはできないが、突き詰めて考えていくといずれにせよブランド名や機能に関するウエートが下がり、コストや価格面の重要度が増すことになるのであろう。
だからこそ、より大量に商品を発注できるメーカーで、人間関係においても信頼できるメーカーこそがこれらの海外工場との提携を更に親密にしていき、いずれは市場のリーダーシップを握ることになるのだろうと思う。
日本のメーカーも台湾や韓国に工場を持つことが今では当たり前のようになっているが、それらの規模さえも大幅に上回るような世界的なファブレスの波が押し寄せているような気がしてならない。
だからこそ、トレードショーでアナログ機器を見ることは苦痛でしかないのであろう。
なぜなら全てが同じで全てが新鮮でなく、本当につまらないのだ。
ああ、何か本当に面白い次世代のグッズはないのだろうか??
これからのトレンドはこの一言にまとめられる。

如何に楽しく、如何に簡単に、如何に安く音と光を楽しむことができるかだ。

それを実現できるメーカーのみが最終的にマーケットを牛耳ることになることは明白だ。
よーし、ショーの後は皆でパーティーだ!きっとすごい演奏が待っているぞ!!

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